2009年4月11日土曜日

灰は灰に、塵は塵に。

吸血鬼。
その単語を舌先で転がすだけで体温が微妙に上がったりしませんか?
ましてや…ヴェドゴニア!
思わず天を仰いで吼えたくなるほど魅力的な語感!
ヴェドゴニアですよ?
ダンピールでもクルースニクでもなくヴェドゴニア!
どうして一番禍々しい響きを持つ単語をもってくるかな…萌え♪


―と、言う訳で虚淵作品紹介その一、『吸血殲鬼ヴェドゴニア』でございます。
謎の吸血鬼に噛まれ、半吸血鬼ともいうべきヴェドゴニアになった少年が吸血鬼ハンターと吸血鬼、そして吸血鬼の能力を利用しようとする秘密結社の三つ巴の戦いに巻き込まれる、というストーリー。
システムはオーソドックスな選択肢式。
リアルタイム戦闘が一話ごとクライマックスにあるけど、さほど難しいものじゃなし…まあ、アクセントにはなってるかな?
4ヒロイン4ルート構成。
(幼馴染/部活の同級生メガネっ娘/吸血鬼ハンター/謎の美少女)

さて、以上の散文的な説明だと一年に十二本は発売されそうな作品に見えるかもしれませんし、実際、ストーリーの進行とかは黄金パターンなんだけど(力に目覚め→恐れ→それでも必要な状況に陥り→翻弄され→克服し→戦って→勝利する)個々のエピソードとエンディングが酷で血まみれで悲しくも美しい。(ううむ、ワケわからんな!)
(半)吸血鬼の能力を活かして化け物みたいなバイクを乗り回したり、化け物みたいな拳銃を撃ちまくったり、殺戮の快感に酔ったり、自己嫌悪したり…”これでもか”とエスカレートしていくアクションのシチュエーションと描写は流石の一言。
しかも、エンディングが潔い。
日常側
(幼馴染/メガネっ娘)に立つと事件の真相は皆目わからず非日常側(吸血鬼ハンター/謎の美少女)に立つと…帰ってこれない!
そう、ヴェドゴニアの呪われた力…それを捨てるか、受け入れて闇に生きるかしかないのである!
もちろんワシの好みは後者のほうね
ヒロインが、あるいは主人公が失った日常の喪失感に耐え、仄かな希望を目指すエンディングは素晴らしいの一言。

―ここで、ちょっと思ったのが虚淵世界って、力が明るく正しいものとは書かれないんだなーという事。
作品によって主人公が手にする”力”は様々だけど、それは決して彼を幸福な日常に戻してはくれない。
むしろ、”力”が彼を死地へと駆り立てていく…そんな感じが堪らなく好み。
剣を持つものは、いつか剣によって斃れるものなのだって感じか?
(おおう、ここまで書いてしまったら「鬼哭街」の時どうしよう?)
個人的には、幼馴染エンドが一番オーソドックス。
メガネっ娘エンドがある一番ハッピーエンド。(主人公が失うものが少ない。)
キャラ的には吸血鬼ハンターエンドが一番萌えて、
謎の美少女エンドが一番テーマ的に完結してて美しい、そんな感じの色分け。

虚淵作品全部そうだけど(笑)血まみれ悲劇が大好きな人にはオススメ。
(まあ、ヴェドゴニアはグロいシーン全然ないけど。)
あと、今となっては繰り返しがちょっとメンドイかな?
(当時はあたりまえだったけど。)
まあ、既読メッセージスキップとかシステム周りは完備されてるのでそんなにストレスはないと思う。
ちなみにボイス入ってないのはむしろ好みです(笑)

主人公になりきって破壊の衝動に酔え!
(↑いや、酔っちゃダメだろ!)