何をする気もおきない時がある。
新しいことはもちろん、大好きな本すら開く気になれない。
外出なんてもってのほか。
パソコンの電源をつけることすら徒労に思える。
なにもかも、無駄に思える。
―無駄なことなど一つもないし、
仮に無駄だったとしても僕らは行くしかないのだが―
そんな当たり前の事さえ信じられなくなる時。
これはもう、寝てしまうしかない。
物理的(肉体的?)に眠いかどうかなど瑣末な事だ。
何しろ、他に何をする気もない。
したいこと、しなければならないことがあったような気もするが、信じられない。
なんとかプレーヤーだけはセットしてベッドに落ちる。
電気もつけたまま、布団なんぞ何処にあるのかも知ったことじゃない。
なんとなく音楽がなっているが、音がバラバラに聞こえる。
なんの曲かもわからない。
わずらわしくもあるが、起き上がるのも億劫なので、ほっておく。
起きてるのか、眠っているのか。
どちらでもいいし、どのみち意味はない。
頭蓋の中につまった益体もない泥の塊。
皮袋の中は、濁った油。
暑さ寒さにだけ、緩慢に反応する。
…しばらくすると、歌詞の欠片が耳に入ってくる。
連続した歌には聞こえない。
あー、やっぱり半分寝てるんだなーとか、本当に無意味な思考。
…またしばらくすると、なんとか歌の半分くらいは認識できるようになる。
サビの部分とか。
なんとか歌を聴くかっこうになれる。
…さらにしばらくしてイントロで歌がわかるようになる。
まあ、自分のプレーヤーに入ってるお気に入りの曲だから当たり前なんだが。
歌詞に反応して起き上がり、一緒に歌ってみたりする。
よし、なんて呟いてみたりして。
何が好いのかはよく分からんが、とにかくも起き上がった。
プレーヤーの曲全部流しても起き上がれなくなる時があるのかもしれない。
ま、そん時はそん時だ。