2008年5月17日土曜日

地獄と現実のはざまを

惨劇に巻き込まれた少年が一冊の本を手にしたとき、恐るべき儀式の幕が上がる。
そして―天使は現臨れた。

『ゾディアックゲーム』
(著:真じろう)

新人、という事で様々に甘さはあるが、ネタとしては大好物である。
死んだはずの少年が「貴方の星座の天秤」と名乗る少女とともに儀式と呼ばれる死のゲームに立ち向かう、という導入。

”ゲーム”の参加者である主人公のライバルや、そのほか使えそうな設定をバラまいて徐々に繋げていく手法は定石どおりだが、追加されてゆく”ルール”がスパイスになって飽きさせない展開になっている。
登場するキャラクターは類型的であるのも”ゲーム”の”ルール”―つまりは作品世界の謎を考える余裕を与えてくれて逆に好感が持てる。
特に、主人公とパートナーの天秤(と書いてリーブラ)は安心して感情移入できるタイプかな。

あらゆる意味で先が楽しみな作品。
(ただし、現状では先物買いになる。)
二巻が試金石になる予感がするな。